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フランスのトランク製造アトリエが世界の有力企業に
ルイヴィトンのルーツは19世紀を生きたフランスのトランク職人ルイヴィトンが設立した企業でした。彼のつくる頑丈なトランクやスーツケースは評判となり、次第に多くのアイテムを製造して発展していきます。そして、彼の死後も息子たちが遺志を継いで、事業をさらに飛躍させ、現在では世界中の誰もが知っているブランドへと成長させたのです。まずは、ルイヴィトンの歴史を見ていきましょう。
少年が抱いたトランク職人への夢が始まりだった
1837年、16歳の少年だったルイヴィトンは、パリのトランク職人であったマレシャルのアトリエに弟子入りします。フランスでは15世紀ころから優秀な職人を育てるための「コンパニョナージュ」という制度がありました。これは結社のようなもので、職人育成に大きく関与し、現在でも職業訓練校として残っています。ルイヴィトンがこのコンパニョナージュによって弟子入りしたかは定かではありませんが、腕のいい職人を目指していたのは確かでしょう。
この時代には多くの人が旅行や文化交流などで移動をはじめた時期でした。交通手段は汽車や船舶、また、馬車もまだポピュラーな乗り物として活躍していました。ただ、ホスピタリティーの精神はまだ乏しく、スーツケースは手荒に扱われることが多かったそうです。ですから、旅行者は荷物を守るためにスーツケース職人に鞄だけではなく荷造りまでも依頼していたといいます。ルイヴィトンは、そのような時代に大きな需要のあるのを理解して、スーツケース職人を目指したのかもしれません。
父の遺志を継ぐ息子の活躍で世界へ
マレシャルのアトリエで17年間働いたルイヴィトンは、独立してパリにアトリエを開きます。1854年にはパリに世界初となる旅行鞄専門のショップを開店しています。また、1867年のパリ万博では銅賞を受賞、ロシアやスペインの貴族からも鞄の発注を受けるなど、順調に発展していきます。
そして、1892年のルイの死後、その発展は息子であるジョルジュヴィトンへと引き継がれます。後にルイヴィトンの代名詞ともなる「LV」を組み合わせた「モノグラムライン」もコピー製品の防止を目的にジョルジュが考案したものです。堅牢な鞄製造技術とデザイン性は、世界で評価され、1914年にはパリに世界最大のトラベルグッズ専門店を開店。世界で最も有名なトラベルグッズのメーカーになっていくのです。
歴史のあるブランドだが、アパレルへの本格進出は1997年から
ルイヴィトンのブランドコンセプトは、スーツケース職人からはじまった企業であるため、「トラベル」を貫いています。そのため、世界的なブランドになった後も、長い間鞄や財布など、トラベルを意識した商品展開を実施していて、意外にもアパレルに参入したのは1997年とその歴史から見れば最近と言えます。アパレル進出で総合的なラグジュアリーブランドを目指した理由は、後にご紹介する企業としての成長戦略も関係があるようです。
日本とルイヴィトンのつながり
日本でのルイヴィトン進出は、1978年日本橋高島屋など百貨店を中心に6店舗がオープンしています。1981年には東京赤坂に直営店もオープンさせています。
日本とルイヴィトンのつながりはそれだけではありません。1883年、まだ創立者であるルイヴィトンが存命中に日本から板垣退助と後藤象二郎がヨーロッパを視察。パリの本店でルイヴィトンのトランクを購入したとされています。また、前述した有名なモノグラムラインは、ジョルジュヴィトンが万国博覧会で日本の「家紋」を見て考案したのではないかとも言われています。
近年では、日本の前衛アーティスト草間彌生や村上隆とコラボレーションしたラインを発表。世界中で話題となりました。
ルイヴィトンのブランドコンセプトと特徴
出典:https://www.esmodjapon.co.jp/column/brand/louis-vuitton
世界的なハイブランドであるルイヴィトン。そのブランドコンセプトと、ラインナップなどをご紹介します。
トラベルがコンセプト
ご紹介してきたようにルイヴィトンはスーツケースの製造からはじまった企業ですから、「トラベル」がコンセプトのなっています。旅行でも使用できるアイテムを中心に展開していて、さらには、旅行中の使用でも耐えられる頑丈さも特徴です。この特徴はルイヴィトンの製品全てに活かされていて、鞄などだけではなく、アパレルでも縫製がしっかりとしていて実用性や耐久性に優れていると言われています。
PVCを多用した素材
頑丈で耐久性に優れているルイヴィトンのアイテムの多くはポリ塩化ビニール(PVC)という素材を使用しています。ハイブランド製品というと、本革を使用しているイメージが強いのですが、ポリ塩化ビニールのほうが耐久性に優れていて、キズがつきにくいなどの利点も多いのです。もちろん、人工素材とはいっても、使用素材のグレードが高いので、汎用品のような見た目や使用感ではなく、確かなハイブランドの手応えが感じられます。
ルイヴィトンの特徴的なラインナップ
モノグラム
ルイヴィトンと言えば、すぐにこのマークが頭に浮かぶ方がほとんどではないでしょうか。それほど、ブランドのシンボルと言っても良いラインです。ブランド名の頭文字LとVを組み合わせたもので、多くのアイテムに使用されています。
ヴェルニ
エナメル素材の商品に、モノグラムが型押しされたラインです。素材の色そのままに型押しをしただけですから、エナメルの光沢がより印象深くなります。
ダミエ
格子状の模様、いわゆる市松模様のラインです。モノグラムラインよりも以前に考案され、ルイヴィトンでは一番古いラインと言われています。
エピ
エピはフランス語で麦の穂という意味です。揺れる麦の穂をイメージして、レザーなどに型押ししたラインです。気品のある素材感が人気です。
LVMHの誕生とプレタポルテラインのデザイナーたち
出典:https://www.harpersbazaar.com/jp/fashion/collection/g35718565/paris-fashion-week-fall-2021-210204-lift1/?slide=4
1987年にルイヴィトンは同じくフランスの企業と合併して「LVMH モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン」となりました。そして、さらに飛躍するためにプレタポルテラインに進出していきます。
LVMHの誕生
ルイヴィトンと合併した「モエ・ヘネシー」は、シャンパンのモエ・エ・シャンドンやシャンパンの王様とも言われるドンペリニヨン、コニャックであるヘネシーを販売する企業です。LVMHは、その後も次々と名門ブランドを傘下においていきます。アパレルではフェンディ、セリーヌ、ジバンシーなどが傘下で、その他にもショーメやブルガリ、タグ・ホイヤーなど錚々たる有名ブランドが揃っています。このような企業複合体をフランスでは「コングロマリット」と言い、参加するブランド価値を高めると言われています。
個性派のデザイナーたちが創造したプレタポルテライン
1997年、ルイヴィトンはプレタポルテラインの開始するためにマークジェイコブスをディレクターに採用しました。これまでトラベル用品を主軸に展開してきたルイヴィトンのアパレルは、どのようなものか注目されていましたが、コレクションは非常に高評価を得て、大成功を収めます。
マークジェイコブスが自分のブランドを立ち上げた後には、ストリートファッションを意識したキム・ジョーンズを起用し若い購買層も取り込んでいきます。現在もルイヴィトンのコレクションは常に注目を集めていて、伝統的なバッグ類などのアイテムとともに世界中で人気を博しています。
世界一のハイブランドとも言われるルイヴィトン
ルイヴィトンは、そのイメージから世界で一番有名なハイブランドとも言われます。そして、ブランドスタイルも徹底していて、値引きやセールなどは一切実施せず、もちろん、アウトレットショップなどもありません。ほかのブランドとは一線を画す本物のブランド価値を大切にしているのです。
確かに値段も高く設定されていますが、使い心地の良さと長く使用できる耐久性を考えれば、世界中で購入する人が多いこともうなずけます。ただ、注意したいのは、いくら良い製品だとしても、メンテナンスを怠ってしまえば長く使用することはできません。適切なメンテナンスを心がけましょう。
世界的なハイブランド、ルイヴィトンのメンテナンス
では、ルイヴィトンのアイテムを適切にメンテナンスするためには、どのような方法があるのでしょうか。
ブランド品の衣類はプロに任せたほうが安心
まずは衣類のメンテナンスです。基本的なことですが、「汚れてしまったらすぐに洗う」というのが一番のメンテナンス方法です。そのまま放置してしまえば、取りにくい頑固なシミ汚れになってしまうこともあります。
ただ、ルイヴィトンに限らず、ハイブランドの衣類はデリケートな素材を使用していることが多いです。デザイン性も重視されているので、型崩れを起こす心配もあります。そのようなリスクを回避するためには、ブランド品のクリーニングが得意な業者に依頼するのが一番安心できる方法だと思います。
伝統的なトランクや鞄は耐久性が良いが手入れを丁寧に
ルイヴィトンが170年以上伝統的な製法で製造してきたトランクや鞄なども、できれば定期的にプロのメンテナンスに出しましょう。そうすることによって、快適に使用できる期間は大きく伸びると考えられます。
クレアンではバッグのメンテナンスをバッグ製造技術者がおこなっています。バッグの構造や加工方法を熟知しているからこそできるメンテナンス技術は、ルイヴィトンのようなハイブランドの製品でも安心して任せることができます。メンテナンスを検討している方は、ぜひ、お問い合わせください。