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人気の高いEMILIO PUCCIのプッチ柄ワンピース
イタリアの高級ブランド、エミリオプッチのシルクワンピース。
抽象的、幾何学的ともいわれるカラフルなシルクジャージ素材は、「プッチ柄」といわれ、エレガンスな装いが現在でも人気があります。
その原色を使った「プッチ柄」のワンピースがやってきました。
エミリオプッチで使用されるイタリア製でシルク素材は、染色が弱いためクリーニング業界では難洗衣料と言われクリーニング店では断られることが多いのです。
ましてや、シルク素材にドライクリーニングで落ちないとされる汗染みがついていたらお手上げです。
長袖のワンピースの脇汗シミ
脇のシミです。
シミの中でワキ染みは最も多い事例です。
ドライクリーニングしても汗は落ちません。
表面が落ちたように感じても、汗の要素が蓄積し、そのままにしておくと必ずシミになります。
次に見るのは、ワンピースの前みごろの下の方のスカート部分に着いた丸い形のシミです。
シミについて、お客さまに聞いても何のシミかわからないという方がほとんどです。これは色の具合、場所からして飲み物汚しだろうと思われます。おそらく飲み物をこぼして広がったのでしょう。こぼしてから1週間も経てば変色してきます。
着物などでも同じですが、一般的にシルクについて変色してしまったシミは取れないといわれています。
エミリオプッチ シルク素材の水洗い
1点ずつ手洗い
それでは手洗い槽の中で手洗い作業します。
このような手洗い装置を備えているクリーニング店はほとんどありません。
クリーニング店にあるのは、染み抜き台と業務用洗濯機のみです。
だから、1点だけを手洗いすることができないのです。
40度のお湯のシャワーでお湯を流す
まず40度のお湯のシャワーをかけます。
お湯につけるのではなく、お湯を流すことがポイントなのです。
シルクを水洗いするクリーニング店はほとんどありません。
シルク素材のすべてといっていいぐらいに、洗濯表示は水洗い×、ドライクリーニングオンリーになっています。
シルクは水洗いができないというのは、クリーニング用の機械で繊維に負荷をかけるから水洗いできないのです。
繊維に負荷をかけないで洗うことができれば水洗いしても問題がないのです。
繊維に負荷をかけない手洗い「アクアシャワー技法」
水が流れることにより汚れが柔らかくなり、汚れがお湯とともに流れていきます。
この繊維に負荷をかけないで洗う手洗いの方式全般を「アクアシャワー技法」と呼んでいます。
洗浄力は強いが、赤ちゃんにも安心な”天然石鹸”
次にお米の油から作られた洗浄力の強い石鹸液を噴霧します。
汚れに対して溶解力が強いので、汚れを溶かす作用があるのです。
クレアンの洗浄は合成洗剤を一切使わず、赤ちゃんにも安心な天然石鹸を使います。
アレルギーや敏感肌の方にやさしいだけではありません。
100%天然の洗剤ですからヒトの汗や皮脂になじみやすく、その分洗浄力が増すのです。
丸いシミは広がり方からして、油性のシミかもしれません。
この石鹸は油汚れにも洗浄力を発揮します。
ワキ染みにも同じ洗浄液をスプレーします。
シミ抜き前にしっかりと汚れを除去
変色してしまった染みは汚れを除去しても、必ず跡が残ります。
洗った後の漂白作業で、シミ跡を消去しなくてはなりませんが、そのためにはあらかじめ、汚れをすっかり除去しておかなければならないのです。
反対側の脇にも石鹸スプレーをかけます。
そしてブラッシング しみ抜き前に石けんを泡立て汚れを十分にとっておくことがとても大切です。
シルク素材の漂白作業
色柄のあるシルク素材の漂白
石けんで汚れを取って、シャワーですっかりゆすぎ終わったら、次は漂白作業です。
一般的に色柄のあるシルク素材は漂白ができないと言われています。正絹の着物のしみをとることができないので、漂白でいったん白くしてから再度色をのせる、描くという作業が行われてきました。手間のかかる作業で作業料もとても高価になります。
シルク用に調合された特別な漂白剤液
この漂白剤液は、シルク用に特別に調合されたもので、シルクにも適用できます。
シルク素材にもやさしいけれど、ゆっくり効いてくるので時間がかかります。
つきっきりで漂白時間を調節
しばらくおきます。
そして、この時間が本当に重要なのです。
主婦の方ならお分かりになると思いますが、長く漂白していると変色してしまいます。
中和剤を脇に置きながら、漂白の具合を注視します。
とにかく、つきっきりの作業となり職人でも緊張するものなのです。
漂白作業が終わると、漂白剤を中和してから、シャワーをかけて十分にゆすぎます。
クリーニングの洗いはこれで終わりです。洗濯機には入れません。
脱水はしない、繊維に負荷のない自然乾燥で
脱水は水を切る程度で脱水しないのが原則です。
乾燥機にも入れません。自然乾燥です。
洗い始めから、乾燥まで繊維に負荷をかけない、というのが高級なクリーニングの技です。
アイロン仕上げ
蒸気の圧力で柔らかくほぐす、プロのテクニック
水洗いしたあとですので、シルクの繊維は少し縮こまっています。
そこで、蒸気の圧力で柔らかくほぐしてあげます。
アイロンを当てたり、蒸気でほぐしたりするその加減が難しく、この微妙なバランスを取りながら仕上げていくのがプロのテクニックです。
両脇とも脇の汗染みはなくなっています。
食べこぼしの跡もすっかりなくなりました。
エミリオプッチのシルクワンピースはキレイに仕上がりました。
シルクのような繊細な素材や、洗えないといわれる難洗衣類を洗う。
繊維に負荷をかけないで汚れをとるクリーニング方法が「アクアシャワー技法」なのです。
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