レザーのメンテレポート1

仔牛の革の質感を蘇らせる

Before

レザーのチョッキ。仔牛の革を使ったとてもおしゃれなベストです。
襟巻きのような部分にシミが付いて、色あせ、表面もざらついてしまっています。

After

柔らかい革だけに染み込んだシミは、レザークリーニングだけでは、跡が残ります。
カラーリング(染色)補正で調整しました。

Before

しっとりとした質感とさわったレザーの感触を残すレザーのカラーリング(染色)補正は大変難しい作業です。
一般の革れ工房では、顔料で補正しますが、それでは表面がピカピカになってしまいます。

After

最後に表面をなめらかにする溶剤を染み込ませ、仔牛のマットな色合いと質感が蘇りました。
これは顔料と染料を使いこなすことができる職人だけができる技と言えるでしょう。

古びたムートンジャケットの修復

Before

表面の色剥げで古びてしまったムートンジャケットです。
ムートンの革の表面はざらざらしているので、製造時にその上に顔料を載せているので、スレたりするとどうしても色剥げが起こります。

After

ムートン専用のクリーニングをしたあと、色補正を行います。
顔料だけではまた色剥げが起こりますので、染料をムートン生地に染み込ませ、さらに顔料で染色しました。
新品のようになったと思います。

汚れと傷を隠してしまう染め替え

Before

「レザーコートあちらこちらに取れない汚れと小さなキズが・・色にも飽きてきたのでいっそのこと、染め替えを」というお客様のご要望です。

After

まずレザー専用のクリーニングで汚れを落とします。
残ったシミ跡や小さなキズを隠す作業をしてから全体的な染め替えを行いました。
焦げ茶に染め替えしたら、同じ風合いで全く違った新しいコートになりました。

白ちゃけ変色したムートンコートの修正

Before

ムートンコートの染色は、製造時からして熱をかけられないなど染色が難しく、染色堅牢度が弱い作りとなっています。
だから、紫外線やスレなどから白ちゃけたり、変色したりします。

After

光の当たらない襟裏の色と同じ色に染料をうまく調合してカラーリング(染色)を行いました。
ムートンはスエードなどと同じく、表面はざらざらしているので、顔料はガサついてしまうので使いません。
また染料も部所によって吸い込み方も違ってくるので、染色には高い技術が要求されます。

リカラー(カラーリング)作業で、最も重要なのは、顔料、染料の色合わせ、調合方法です。
長く着用することにより、すべてのレザー製品は微妙に色が変わっていきます。
最も適した色を作り出すのはベテラン職人でしか行えない作業です。

リカラー(カラーリング)では、細かなところや微妙なレザーの風合いを表現する場合は、筆を使います。

また、フラットな仕上げの場合は、エアブラシで顔料、染料を吹き付けます。
液量を微妙に調節しながら噴霧して仕上げるのが職人のわざです。