バッグマイスターのメンテレポート


エルメスガーデンパーティPMアマゾニア カビ除去

このガーデンパーティのキャンパス地は天然ゴムでコーティングされています。
泥汚れのように見えますが、カビです。

カビがついて間のない頃のカビの色は、灰色ですが、やがて茶色、最終的に黒っぽくなります。
カビ侵食の2段階目ですから、ちょっと重症です。

カビ取り溶剤でカビを落としましたが、跡が残りましたので、ゴム専用のカラーリングで再生しました。

バッグ底の部分にもカビがありましたので、同じような作業を行いました。
バッグのお手入れはカビ防止が一番大事です。
最も良いお手入れは風通しの良いところで時々陰干しをすることです。

ガーデンパーティーのオールレザー仕様のネゴンダ

エルメスで人気のガーデンパーティーですが、これはオールレザー仕様の「ネゴンダ」です。
もともとこんな色ではなかったのに全体的に色が大きく変色しています。角も擦れているので、元の色に戻して欲しいという難しいご要望です。

そしてステッチの糸の色はそのままにという更に難しいご注文でした。
ステッチの糸をカバーしてカラーリングですからきめの細かい作業でした。
かなり時間をかけての作業となりましたが、すっかり新品のようになりました。

ディオール コンパクトウオレット エナメル財布の変色

小さな財布でも、ステッチのデザインでディオールだとすぐわかります。
エナメル加工の天然皮革は、紫外線に弱く変色してきます。

さらに、インクや手垢なども目に見えない無数の穴から染み込んでしまい、表面をクレンジングしても全く取れません。これが意外と知らないエナメル革製品のデメリットです。

新品のときの色を再現してエナメル再加工。何度もカラーリングを重ねる難しい加工です。

日本では数少ないエナメル再加工できる職人が、作業しました。

難しい財布の内側の補正

ヴィトンモノグラムのファスナー付き財布です。エナメル皮革製品ですが、汚れがこびりついて拭いても拭いても取れません。
ガラスのようなエナメルですが、顕微鏡で見てみると無数の穴が空いています。そこから汚れが入り込んでしまうともう取れないのです。

再エナメル加工をすることで解決しました。
表面のエナメルを剥がして中の汚れを除去して、再度カラーリング、エナメル加工を繰り返します。

また、財布の内側まですっかりきれいにして欲しいというお客様の要望により、クレンジングとカラーリングを細かい作業で行いました。

内側まできれいにカラーリングできる繊細な技術を誇っています。

シャネル 布バッグ 日焼け修復

正式名シャネル ヴィンテージ ハーフムーン チェーンショルダーのシャネルらしい上品な布バッグです。
赤いバッグと思いきや、バッグのかぶせふたを取ったら、元は紺色でした。

素材はシルク生地、ひどい変色です。染色堅牢度が弱いと紫外線で変色します。
処理としては、酸素系漂白である程度色を戻して、仕上げに染料による染色を行いました。

染色の難しさは、色合わせです。
日の当たらないバッグの内側の色に合わせて、染料を調合し、慎重に少しづつ染色していきます。

お客様は「内側の既存の紺色に近づけてほしい」というご要望でした。
ここまで染色による修正ができる技術は他にはないと思われます。