プロに聞く3.最近の衣類の複雑な色落ち事情。ジーンズは酢で色止めできる?

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原宿にあるファッションケアたきもと(※残念ながら、現在は体調を崩され閉店(2018.9追記))の代表、そして日本ファッションケアの代表理事も務める滝本さんに、普段なかなか聞けないクリーニングの実情について、ちょっと詳しくお伺いしました。ファッションケアたきもとは原宿という場所柄、業界人が数多く訪れる人気店で、難易度の高いシミ抜きを得意とし、アパレル各社からのクリーニングに関する相談も多いといいます。
今回は、クレアンでもご相談の多い衣類の色落ちについてですが、特にジーンズの色落ちについてのお話しになりました。

聞き手:
染色が弱いものを洗う場合に色止めが必要になってきますが、
浴衣を洗う時にお酢に浸けてから洗ったとか、ジーンズの色落ちが酷いので、
お酢に浸けたら良かったなどと聞いたことがあります。

滝本(日本ファッションケア協会/代表理事):
ゆかたの色が出てしまう場合に、お酢につけると良いともいわれていましたが、
その当時の染料がお酢で、ある程度色止めができたようです。
ジーンズの色落ちにもお酢が効くと聞いたことがあります。
しかし現在の衣類の染料は、化学的に合成した染料が多くなり、
内容も複雑になってきましたから、水を酸性にしただけでは色落ちを防ぐことはできないと思います。

聞き手:
ジーンズもまた大変色落ちがひどいですね。

滝本:
もともと色が落ちてもいいように、染色工程で色止めをしていないのです。
ジーンズのデニム生地はもともと帆布から生まれたもので、ごつごつしています。

染色はインディゴです。
アメリカの開拓時代に、インディゴの匂いを嫌うという蛇や虫除けのために使用されていたといわれています。
その方がインディゴの匂いを多く発するからだという訳です。

しかし1900年代のはじめ頃よりインディゴ染料は化学合成されたものがほとんどであり、
ヴィンテージ・ジーンズはすべてこの合成インディゴで染色されていたそうです。
微量ながらピレスロイドが含まれている天然藍には、ある程度の除虫効果があるが、
不純物の無い純粋インディゴ(合成インディゴ)にはそのような効果はないそうです
蛇や虫除けの効果あると、最近まで雑誌や古着マニア等の間で言われていましたが、その真偽は定かではありません。

高価ながらも少量生産のメリットを生かした天然インディゴ染めのジーンズが
いくつかのメーカーから製造販売されています。
洗濯することによってジーンズは色落ちしますが、他にも「アタリ」といって、
生地のカドや膝、ヒップ、裾など突出した部分が擦れて色が落ちます。

また日焼けによっても起こります。
帆布はごつごつしていてアタリが多いわけですから、
ジーンズの色落ちは、アタリによって起こるといても良いでしょう。

ジーンズの高級クリーニングは、色落ちの程度を調整することが出来ます。
色落ちをさせたくないなど、色落ちについてのお客様の要望を聞いて、
どの程度の色落ちをさせるかを決めてクリーニングすることが出来ます。