マッキントッシュクロスのクリーニング
生地に天然ゴムがコーティングされている完全防水のゴム引きコートは、バーバリーなどの通常のコットンコートと違い、その風合いとパリッとした着こごちに独特なものがあり、メンズ、レディスを問わず世界中に愛用者がいます。
洗濯表示はすべて☓(バツ)、一般的には洗えない、クリーニングできない商品です。その理由は、ゴムがコーティングされている繊細なコットン生地なので、ゴムが古くなってくると固くなって折れてしまう。更に完全防水にするためにミシン目にテープが貼られているので、それが剥がれてくるリスクがあることです。
マッキントッシュのゴム引きコートは、コットン生地に天然ゴムがコーティングされているので、表地が固くなりやすく、折り目が白っぽくなってきます。これを機械洗いしたり乾燥機に入れたりすると更に白化したり、繊維が折れたりするので、手洗い以外にクリーニングする方法はないのです。
汚れの多いマッキントッシュコートをキレイにする。風合い、形をくずすことなく洗い上げるには、汚れを溶かす洗浄力のある石けんを十分に染み込ませ、手洗いします。これは生地に出来る限り刺激をあたえないで、汚れを取る方法です。
コートは襟周り、袖口が最も汚れています。泡立てた柔らかいブラシで、ブラッシングして汚れを除去します。
ゴム引きコートの修理とメンテナンス
天然ゴムがコーティングされているこのゴム引きコートは、マッキントッシュクロスと呼ばれ、マッキントッシュブランドだけでなく、エルメス、ルイ・ヴィトン、グッチなど多くのハイブランドメーカーに採用されています。
ゴム引きコートは、クリーニング方法を間違えたり、また長く着用しているとゴム部分が劣化してきますので、様々なトラブルが生じてきます。これはしわくちゃになってしまったエルメスのゴム引きコートです。
あらかじめ生地を柔らかくする特殊な柔軟剤にひたしておき、手アイロンでシワをひとつひとつ伸ばしていきます。丸みのあるところは「コテ」という様々なアイロン台を使用、蒸気の圧力を調整しながらシワを伸ばす、これは職人技です。
完全防水のマッキントッシュクロスでも縫い目からは、水が漏れてきます。それを防ぐためにすべての縫い目にテープが貼られています。そこには接着剤が使われているので、ボンドはやがて劣化して剥がれてくるのです。それを再度貼り付ける修理です。
だめになったテープは新しいテープを接着します。乾燥したヨーロッパと違って温暖多湿な日本の風土では、劣化の進み具合は高くなります。特に汗をかくわきの下回りに多く見られます。汗をかいたと思ったら、きつく絞ったタオルでこまめに拭き取ること。他の衣服より湿気に弱いので、天気の良い日に陰干しをすることが予防法です。
もう一つマッキントッシュクロスの問題点は、生地が固くなっているので、スレが多く出来ることです。特にシワのよりやすい腕の部分や襟周りなどが白化してきます。濃色加工のスプレーをかけることで目立たなくします。
マッキントッシュクロスのゴム引きコートは、洗濯マークがすべて☓(バツ)と表示されているだけあって、クリーニングにとって洗いから仕上げの工程全てに手間がかかるお品物です。仕上げもすべて専門の職人による手アイロンできめ細かく作業していきます。
シルク素材のエミリオ・プッチ
エミリオ・プッチのシルクワンピース。通常シルク素材はどこのクリーニング店でもドライクリーニングです。移染や縮み、シルクの風合いが損なわれるのが理由です。水で洗うと繊維が水を含んで膨潤し、それに機械洗いなどで物理的な力が加わることで繊維が折れたりするからです。しかし物理的な力をかけないで洗えばなんの問題も起こりません。洗濯槽に広げたまま手洗いします。
ドライクリーニングの最大の問題は、ドライは石油溶剤ですから、汗などの水溶性の汚れはほとんど取れません。このワンピースはわきの汗がひどく汗ジミとなって変色しています。手洗いで汚れを除去した後、特殊漂白で補正しました。
汗汚れや、わきジミもすっかり綺麗になったエミリオ・プッチのワンピースは手アイロンで仕上げられ、シルエットやシルクの光沢もそのままに仕上りました。
オイルド(ワックス)ジャケットのクリーニング
オイルドジャケット・コートのブランドは、バブアーの他、ベルスタッフをはじめ、フィルソンやラルフローレン、ウエストミッドランド アウターウェアなどがあります。英国王室のアウトドア着として有名になり、そのヌメッとした質感がマニアの間に親しまれています。
ただ、塗られている油が化学変化を起こし、匂いがきつくなったり、油なのでホコリ等を吸って汚れやすいのが難点でもあります。「汚れや匂いをとってほしい」と、クリーニングに出される方が多くあり、お客さまのご要望にお応えしています。
黒光りするほど、油が混じった汚れの多いワックスジャケットです。汚れがひどいのと匂いがきついので、除去して、オイル・ワックス再加工(ルプルーフ)の御注文です。
油は油で溶かす。油を除去するために、ドライ溶剤で洗います。オイルの除去する程度にあわせてドライ溶剤も変得ていくため、いくつかの洗浄機が用意されています。
オイル・ワックス再加工(ルプルーフ)作業
オイル・ワックス再加工(ルプルーフ)作業です。海外で製造されたオイルドコートの油は石油系の油が使用されているようです。その臭いは乾燥したヨーロッパではあまり気にならないのですが、温暖多湿な風土の日本ではとても嫌な匂いになることがあります。クレアンのリプルーフで使用するオイルは、植物性と動物性をほどよく調合して使います。裏地に染み込まないように薄く、隅々までオイルを何度も重ねていくのでとても時間がかかります。
特殊な衣類、衣装、どんな衣類もクリーニング
装飾のついた衣装、特殊な素材の衣類などは、ほとんどが洗えない、クリーニングできないお品物です。クリーニング店に持って行っても断られるか、またこうした品物を扱うクリーニング店でも洗わないで、汚れたところだけを拭き取りお手入れをするだけです。染みこんだ汗など、十分に汚れが取れません。
クレアンでは、泡シャンプーによる手洗いで汚れを落とします。汗や皮脂などの汚れがすっかり除去されてスッキリします。
これは「漬け込み泡洗浄」です。洗浄力のある泡洗浄液に漬け込むことで汚れを除去します。クレアンではどんな衣類も形を崩さず、シルエットを乱すことなく洗います。
様々な修理・リフォーム
クレアンの修理部門です。修理用の糸の数々。修理・リフォームには材料が必要です。ほつれ修理から丈詰め、破れ直し、かけはぎまで、古くなったデザインを今のトレンドにリメイクする作業まで行っています。
これは大変難しいとされるニットの虫食いや穴あきの補修です。穴あき箇所を一度大きく広げてから、再度つぼめながら編みこむという高等技術です。穴跡がまったくわからないようになります。
通常では修理不能として捨ててしまわなければならないニットの破れや穴あきを、熟練した職人たちの手で再生されていきます
お客さまのファッションをサポート、ケアするには、クリーニングだけでなく、修理、リメイクまでをトータルにカバーする。それがクリーニングのコンシェルジェであり、クリーニングのオーダーメイドなのです。