レザー製品のクリーニング洗浄
レザー製品のクリーニングは、まず最初にレザー専用のウオッシングマシンで洗浄されます。種類ワケされた分別洗浄機です。
前処理、染み抜き、ポケットのホコリ取り、ボタン保護などの作業を行い、洗浄機に入れられます。
革の種類や色分け、汚れの状態によって分別してクリーニングされます。
クリーニング洗浄後は、リカラー(色補正・再染色)技術が決め手
レザージャケット、コートなどは、染料、顔料が上塗りされて製品になっているので、着用していると、スレ、ハゲが出てきます。またシミがついたら落ちにくいものです。
それはクリーニング洗浄だけでは、もとに戻りません。リカラーで修復しなければならないのです。
レザーの染色でもっとも大切ななことは、リカラーの材料である染料・顔料をレザー製品のメーカーと同じように、出来るだけ多く持っていること、またメンテナンスするレザーと同じ色を作り出す調合技術です。
エアスプレーによるリカラー作業。黒でも様々な黒があるので、全く同じ黒色を調合します。
ダンヒル レザージャケットのリカラービフォーアフター
食べ汚しか何かのシミです。レザーのシミは革に染みこんでいますので、レザー専用のクリーニング洗浄では、取りきれなくて残ります。
シミ跡を周りの色に合わせてリカラー染色することで見えなくなります。
汗、皮脂汚れの多いエリ
レザーは、布衣類と違って、家庭で洗濯などできませんので、着用していると汚れがエリにべっとりついてしまいます。
レザークリーニング洗浄で、汗、皮脂汚れを除去、表皮は汗で酸化して変色しているので、リカラーで補正します。
レザージャケットのエリは汗、皮脂がたまり汚れます。レザークリーニング洗浄後のリカラーですっかりキレイになります。
接触の多い袖の外側には、シミ、スレが多くなる
レザージャケットの袖外側は、一番外部との接触が多くなるので、どうしても汚れ、シミ、スレなどが多発してしまいます。
レザーのリカラーの技術は、ただ色をかけるのではなく、それぞれのレザーの素材の質感を生かした染色をしていくことにあります。
レザーのトラブルで多い日焼けによる変色
レザーは紫外線に弱く日焼けで変色します。このジャケットは右側の袖の変色が多いので、持ち主は車を運転していた方のようです。ガラス越しでも変色が起こるので、気をつけましょう。
レザー専用の溶剤で洗うクリーニングの後、袖を重点的にリカラーし、他の細かいところも補正することで、ジャケットは新品のように甦ります。
レザーのスレ、はがれを修復
レザー衣類はクリーニング洗浄した後も作業が続きます。再染色、リカラーで補修します。
作業が複雑になり、作業工程も多くなるので、クリーニング納期は3週間以上かかります。
リカラーは、エアースプレー、エアーブラシなどで染色しますが、細かいところは筆で着色します。
ステッチのある部分は、マスキングをしてリカラーし、小さな筆で修正をくわえて行きます。
COMME CA DU MODE MEN レザージャケットのビフォーアフター
永く使っていたため、すっかり色あせてしまったレザーコートです。出来る限り新品時の風合いを残すように、修復いたしました。
袖口、ポケットの縁などとんがったところは、どうしても擦れてしまいます。レザー専用のクリーニング洗浄により、汚れを落とし、リカラー技術により修復しました。
レザージャケットの形を整える仕上げ技術
布衣類と違ってレザーの仕上げは、シワを伸ばすというよりも、形を整えることに重点が置かれます。型崩れなどはクリーニング洗浄した後、整形されます。
動物の皮からできているレザーは、布衣類と違ってシワはあまりできません。しかし長くたたまれている状態で保管しているとシワが固定してしまうことがあります。皮製品はハンガーに掛け、カビ予防のためにも風通しの良い所に保管したいものです。
仕上げの最後に、硬くなったファスナーの滑りを良くするスプレーを噴霧します。
レザージャケットの形を整える仕上げ技術
ラムスキンのデザインジャケットです。何かが飛び散ったようなシミ跡があります。レザーのやっかいなところは、こうした汚れがつくと応急処置をしてもかえってひどくなることで、手の施しようがありません。
ラム(子羊)の革は柔らかい素材ですので、革が硬くなってしまう顔料ではなく、染料系の色を調合して作り、少しづつ染めていきます。
ジャケットの下の方は袖の内側まで飛び散っています。泥はねなのでしょうか?応急処置で拭きとったのでしょうね、それでも輪染みが残ります。
上部と同様に少しずつ染色していくことで元の風合いを残したまま、修復、メンテンスが出来ました。