高級品も安心して任せられる、腕のいいクリーニング店とは?
2.脱水、乾燥、仕上げ


クリーニングに出す時、仕上がりに満足のいくお店をしっかりと選びたい。

クレアンが考えるクリーニング店の選び方の一つとして、前回は、「洗い方」の違いについてお伝えしました。

今回は脱水、乾燥、仕上げの違いについてご紹介します。

物理的な力をかけずに、いかに美しく仕上げるか

洗う際も、脱水、乾燥、仕上げの際も、クリーニングのプロが大切にしていることは同じです。

生地を傷めないこと
形・フォルムを崩さないこと
→『物理的な力をかけずに、いかに美しく仕上げるか』

プロの細かい見極めで違いが出る脱水

品物の型崩れをふせぐために、機械で行う脱水の場合は短い時間でよく、30秒ほどで十分です。

ものによっては機械で脱水せずにそのまま干しますが、これは「だら干し」と言います。
ただ、だら干しでは重さで形が崩れてしまうので、干す前に品物により10秒くらい脱水します。

また、特殊な脱水方法として、クレアンでは、ペルシャ絨毯の脱水の際、品物により、原産国のイランで絨毯の水切りの際に使われている「ビリ」という道具を使って現地の職人が同様の脱水を行っています。

品物や状態により、どの様な脱水を、どの程度おこなうか調整が必要ですが、一般ではなかなか加減が分かりません。
それを見分けるのがプロの目なのです。

乾燥は、温度、時間、使い分けが肝心

自然乾燥、低温乾燥(60度以下)など、乾燥にもこだわりがあることが重要です。

高温過ぎたり、長時間回しすぎたりすると、お品物を傷めてしまうので、なるべく低温で乾燥させることが大切です。
一般的な家庭用やランドリーなどの乾燥機では、細やかな温度調整をするのは難しいものです。

また、脱水した後すぐに乾燥機にかけてしまうと、濡れているため乾燥機にかける時間が長くなります。
自然乾燥をした後だと、タンブリング(羽毛などをほぐしてふっくらさせる)のために少し回せばよいだけなので、短くて済み、お品物を傷めません。

タンブリングの為の乾燥は、乾かす為ではなくふわっとさせる為です。
叩くのではなく空気中に回らせる、泳がせることにより、繊維に空気を含んで膨らみ、また同時に殺菌もできます。

この様に、“乾燥機にかけて乾かす”という使い方ではなく、乾燥機を一部効果的に活用することで仕上がりが違ってきます。

職人技が駆使される仕上げ

「シワを伸ばす」だけではなく、「美しく仕上げる」ための仕上げは、職人が技術や培った経験からの感覚を駆使し、1点ずつアイロンや蒸気を使い分け、丁寧に施されます。

腕の見せどころ、手アイロン


仕上げのアイロンがけは、シワを伸ばすだけでなく、例えば仕立てのスーツなどの立体的に作られているものは、その作りを出来る限り再現する仕上げができることが必要になります。
これは、機械やプレスなどのアイロン仕上げでは美しく仕上がりません。

職人が手アイロンや蒸気などを細かく調整して仕上げますが、手アイロンでは、ふわっとかけるなどの力のかけ具合、生地に対して斜めにかけるなどの調整、テカらないように当て布をあてたり、裏からアイロンをあてるなど、細部に渡って丁寧に仕上げていきます。

テーラードアイロンとは

同じ衣類でも、その特性から、女性はやわらかで身体にフィットするデザインが多いものです。
したがって、女性の衣類の仕上げはそれほど難しくないことがほとんどです。

男性では、例えば背広は、もともと鎧を起源とするように、「伊勢込み」といって背、胸など立体的(600以上のパーツから成っている)に作られているような衣類があります。

その様な背広の場合、袖口の曲線や、立体的に仕立てたパーツの働きを出来るだけ崩さず、仕上げで復元できるような、押さえつけではなく伸ばしながらの手アイロンの技術が必要になります。

それを「テーラードアイロン」といい、スーツ大国のイタリアなどでは、その技術はピカイチです。
ササッとハンカチで立体の花をおり、女性にアプローチなんていうこともお手のもののようです。

蒸気で仕上げる


蒸気で仕上げる場合、プロ仕様のアイロンには強弱レバーがついているので、そのレバーで調整しながらあてていきます。

バキュームという道具も使いますが、これは吸引力があり、蒸気を吸い取るために使います。
アイロンがけで伸びたものが戻ってしまう前に、すぐにクールダウンさせるためにバキュームで蒸気を吸い取り、形をキープします。

縮みやすい生地のもの

ソファーカバーやカーテンなどは、通気性やデザインなどによる理由で、繊維の隙間が多く、縮みやすい生地が使われていることが多いようです。

その様な生地を水洗いした後は、手作業で蒸気を使って生地を伸ばし、バキュームですぐに蒸気を吸い取りクールダウンさせて、形をキープします。

適切な工程、タイミングの見極め、職人の手仕事


素材や作りをよく把握し、生地を傷めない最低限の負荷での洗い方を選び、汚れはしっかりキレイに落とす。

脱水、乾燥、仕上げと、それぞれに適切な工程を、タイミングを見極めて丁寧に行い、必要な箇所に手間暇をきちんとかける。
職人の見極めと手仕事によって、「仕上がりの美しさ」に差がつきます。

衣類は毎日身に着けるもの。
だから自分の身体に合ったもの、心地よいものを選んで、大切に着続けたい。
そんな大切なものを、いつでも安心してメンテナンスできるクリーニング店があると頼もしいですね。