公の場やプライベートでも注目される、ロイヤルファッションで愛用されているバッグブランド。
それぞれの国の個性や個人による好みの違いも興味深いアイテムですよね。
今回は、イギリスの王室と日本の皇室での愛用ブランドと、高級クリーニング店クレアンでの実際のメンテナンスをご紹介します。
イギリス王室が愛用するブランド
エリザベス女王御用達LAUNER LONDON (ロウナー ロンドン)
エリザベス女王お気に入りのバッグといえば、LAUNER LONDON (ロウナー ロンドン)のものというのは有名です。
1941年にイギリスで創設され、60年代に英国王室御用達ハンドバックメーカーとして指定されて以来、50年の長きにわたってエリザベス女王の寵愛を受けています。
英国でのみ製造されるロウナーの製品は全て、英国の伝統ある技術を受け継いだ職人によるハンドメイドによってつくられています。
女王陛下は、ロウナーのバッグを200以上所有しているとも言われており、「トラヴィアータ」と言われるモデルを中心に、「ジュリエット」、「ジュディ」といった3種類のモデルのバッグを主にご愛用の様子。
特に外出時に持たれることが多い、「トラヴィアータ(椿姫)」と名づけられたケリースタイルのハンドバッグは、ロウナー最高級のイタリア製カーフレザーのみを使用しており、耐久性に優れています。
中はやわらかい手触りのスウェードで仕上げられており、フロントの華やかなエンブレムは「ゴールドロープロゴ」。そのくるっとしたフォルムが特徴的ですよね。
お色は黒などのダークカラーのものをお持ちになることが多いですが、他にアイボリーやホワイト、ドレスに合わせて華やかなシルバーやゴールドなどのものも使われています。
気に入ったバッグは何十年も使用するそうで、ロウナーのCEOも「驚くほど長持ちし、構造もしっかりしています。それがわが社の実力です」とコメントしています。
キャサリン妃のクラッチバッグ
キャサリン妃といえば、いつもクラッチバッグという印象です。上品で洗練されたキャサリン妃のスタイルに、クラッチバッグはぴったりです。
生粋の英国ブランドMulberry(マルベリー)
中でも一番登場回数が多いのはMulberry(マルベリー)のクラッチバッグのようです。
1971年、英国サマセット州で誕生したマルベリー。
創業者のロジャー・ソールが毎日通っていた通学路の脇にある木をモチーフに、ロジャーの姉がブランドのシンボルマークである「マルベリーの木」のロゴをデザインしました。
「マルベリー」というブランド名は、この木にちなんで付けられたものです。こうしたマルベリーの成り立ちからも、自然を愛する心や家族の絆をベースにして生まれた、英国らしさを大切にするブランドであることが感じられます。
英国ならではのデザインや製造技術を誇り、モダンでありながらも長く使えるクラシックなアイテムとして愛用されてきました。
それらのアイテムは、古いハンドプレス機やスタンレーのカッターナイフを使った裁断、手作業でのトリミングなど、今も昔と変わらない手法で大切につくられています。
王室ルールとクラッチバッグ
他にも、L.K.Bennett(エル・ケー・ベネット)、Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)など同じ英国ブランドのクラッチバッグも度々お目見えします。
王室ルールの1つで、バッグは必ず手で持たなければいけないというルールがあり、肩にかけたりクラッチバッグを腕に挟んだりすることは禁止されています。
キャサリン妃はそのルールを守りつつ、クラッチバッグが両手で自然に持ちやすいことから、好まない相手との握手を避けるためにもクラッチバッグを選んでいるようです。
ちなみにキャサリン妃のお買い物はオンラインで購入することが多いそうです。なんだか親しみを感じますね。
日本の皇室
美智子妃のバッグの使い方
美智子妃は、いつもシンプルなデザインの品のよいバッグを、スタイルに合わせてお持ちになっています。
ほとんど国産品のバッグをご愛用されており、修理しながら大切にお使いになられています。
上質な国内製品を長く大切に愛用することで、世界に向けて国産品をPRするのは、どの国も共通していますね。
ただし、日本の皇室の場合、特定の商品やブランドの宣伝にならないように、メーカー名などが容易に推測されないようにご配慮があるそうです。
ですのでご愛用のブランドを特定するのは難しいのですが、そのような事情の中でも有名なのは、明治時代から宮内庁に製品を納入している老舗の鞄専門店「銀座タニザワ」。
同店は、ご成婚時に帽子入れ、旅行鞄、衣装ケースなどを献上しています。
また、美智子妃がいくつかお持ちの小さめの籠バッグは、タイの手工業品である高級品で、タイ王室との親交の経緯の賜物とされ、暑い季節によく用いられています。
タイの籠バッグは金具や取っ手がスタイリッシュで、和装洋装を問わずフォーマルシーンにもかなうのが特徴です。
Comtesse(コンテス)のバッグ
日本では雅子妃が御成婚の際に、ゴールドカラーのComtesse(コンテス)のバッグを持っていた際に大きく話題になりました。
コンテスは1953年にドイツで誕生した、バッグを中心としたブランドです。
王室に顧客が多く、日本の他にはタイ、スウェーデンなどの皇室で愛用されています。
バッグの製造は1929年からおこなっており、ホースヘアを代表する最高級の素材へのこだわりと、長い歴史に培われてきた高度なハンドクラフトから生まれるコンテスのバッグは、ハンドバッグの工芸品とたとえられます。
70年前、世界で初めてハンドバッグの素材に希少なホースヘアを使用したのがコンテスです。現在もコンテスで使用するホースヘアは、18世紀に作られた織機で、当時と同じ手法で織られています。
クレアンの鞄・バッグの高級メンテナンス
高級バッグのクリーニング&リカラー(染色補修)
クレアンでも、先日コンテスのホースヘアーのバッグをクリーニング、修理させていただきました。
およそ45年前に、亡きご主人様から奥様に贈られた思い出のバッグということで、大変貴重な年代物のお品物でした。
そちらのバッグを、お孫さんの結婚式にお持ちになりたいということで、依頼をお受けいたしました。
全体的に色褪せや縁の革部分の擦れ、また、ホースヘアーが剥がれてしまっている箇所が見受けられました。
リカラーでの修繕がスムーズに進むためにも、まずは丁寧に鞄の表側・内側ともにクリーニングを施します。
内側や底周りにカビが散見されたため、念入りにカビも落としました。
今回のバッグは、コンテスの特徴の1つである、表面がホースヘアーという細かい繊維が編み込まれた形状になっているため、スレ部分は染料でテスト作業をしながらの修繕となりましが、無事、お式の日までにお届けすることができました。
クレアンのバッグ・鞄クリーニングと修理は、バッグ製造技術者がメンテナンス・修理を行っています。
バッグの製造工程、世界中のブランドバッグの素材を熟知している職人が、高度で専門的な染色作業を丁寧に手作業で施します。
ご依頼の多いエルメス、ヴィトン、シャネル、グッチ、プラダ、ディオールなどのハイブランドのフォーマルバッグからカジュアルバッグまで、色褪せ、汚れ、シミ、カビ、ほつれ、金具メッキ剥がれなど、様々なお品物と症状に合わせて最適なメンテナンスを承っております。
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ロイヤルファッションの上品さ
今回ご紹介したイギリス王室、日本皇室ともに、ほとんどのシーンで、国産品の耐久性のあるバッグをご愛用されており、修理しながら大切にお使いになられています。
上質な素材や作りのバッグを選び、修理しながらも長く大切に愛用するという姿勢が、自然とそのファッションの上品な佇まいとなっているのかもしれませんね。