オイルドコート・オイルドジャケットのよくあるトラブル

関東もすっかり冬になってきて、厚手のダウンジャケットなど真冬用コートが欠かせなくなりました。
オイルドコート・オイルドジャケットをお持ちの方は、毎日のように活躍しているのではないでしょうか?

オイルドコート・オイルドジャケットとは?


出展:Barbour 公式オンラインストア

オイルドコート・オイルドジャケットは、コットンなどの生地の表面にオイルやワックスが塗り込まれているコート・ジャケットです。
オイルドコート・オイルドジャケットで有名なブランドはイギリスのBarbour(バブアー)やBELSTAFF(ベルスタッフ)、それからフランスに本店を置くLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)からも販売されています。
日本でもっとも知名度が高いのはバブアー社のオイルドコートでしょう。

今でこそファッションアイテムとして世界中にファンを持つコートですが、バブアーオイルドコート・オイルドジャケットが誕生した背景には、イギリスの気候と当時の労働環境という切実な問題がありました。

バブアー社はジョン・バブアーによってイングランド北東部のサウス・シールズで創業しました。このエリアは寒い季節が長く、1年を通じて風が強く吹きます。
このような不規則な天候の中で働く漁師、水夫、港湾労働者が、動きやすく風雨をしのげるレインウェアのようなものを開発すべく、鱈の肝油を塗った「オイルドクロス」が作られたのです。
このオイルドクロスで制作した防水ジャケットがバブアーオイルドコートの始まりです。

バブアー社は1894年創業ですので、オイルドコート・オイルドジャケットは100年以上も愛されている伝統的なアイテムになるのですが、独特の雰囲気を持つ濡れたようなツヤが不思議と現代のおしゃれにもぴったりハマるコートで、現在の日本では防水性・機能性・実用性の面よりも、ファッション性が高いアイテムとして愛好家が増えています。

 

オイルドコート・オイルドジャケットの注意点

オイルドコート・オイルドジャケットはとても魅力があるコートなのですが、オイルが塗り込んであるというその特殊な加工から、気軽に着れるジャケットとは言えません。
オイルドコート・オイルドジャケットのクリーニングとメンテナンスを承っているクリーニング店であるクレアンが考える注意点をご紹介しますね。

オイル移りします

オイルドコート・オイルドジャケットの表面に塗布してあるオイルは、他の衣類や肩掛けしているバッグ、リュックについてしまうことがあります。
コートの内側にオイルが染みてくることはないのでインナーは大丈夫なのですが、オイルが塗ってある外側に触れる衣類やマフラーなど小物、バッグにはオイルがついてしまうことが実際にあります。

また、自分の持ち物だけでなく、車・電車・バスなどのシートや満員電車、エレベーターで隣の人と体が触れてしまうことでも摩擦によってオイルがついてしまうことがあります。
この点については、バブアー公式サイトにも注意書きがあります。

防水オイルを施してあるという商品の特性上、ご使用方法によっては他のものに防水オイルが移染する可能性がございますので、下記ご留意ください。
・電車や自動車などの乗り物に乗る場合、移染をさけるため、ワックスドクロスの面が別の素材に触れないように、ジャケットを裏返しにしてください。
・シートや椅子に長時間放置すると移染する可能性がありますのでご注意ください。
・保管においては、クローゼットのなかで他の衣料に直接密着する状態を避け、通気性の良い布をかぶせて保管してください。
引用:Barbour 公式オンラインストア

 

家庭洗濯はできません

オイルドコート・オイルドジャケットはご家庭の洗濯機で洗ってしまうと洗濯機の水流と洗剤によって表面のオイルがまだらに落ちてしまいます。手洗いも不可です。
洗濯の目的は汚れを落とすことですが、オイルを残しつつ汚れだけを取り除くということはできないのです。

こちらはバブアーオイルドジャケットの洗濯表示タグです。

下の方に書かれているイラストが洗濯表示になるのですが、意味は向かって左から
「家庭での洗濯禁止」
「塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止」
「アイロン禁止」
「ドライクリーニング禁止」

となっています。

でも、そもそもコートはいつも自分で洗ってないし、洗えないならクリーニング店に持って行けばいいのでは?と思いますよね。
しかしオイルドコート・オイルドジャケットはそれも難しいのです。

 

街のクリーニング店では洗えません

オイルドコート・オイルドジャケットのクリーニングを引き受けてくれるお店は、実はかなり少ないんです。
なぜなら、洗濯表示タグに「ドライクリーニング禁止」と書いてあるから。

通常、コートのクリーニングはほとんどのお店がドライクリーニングで洗っています。
ドライクリーニングは有機溶剤を使用して洗う方法で水を一切使いません。
そのため、水洗いによって型崩れや縮みがおこりやすいコート類なども安心して洗うことができるのです。

しかし、オイルドコート・オイルドジャケットはこのドライクリーニングも不可となっています。
ドライクリーニングは油となじみが良い有機溶剤を使ったクリーニングなので、油汚れだけでなくオイルドコート・オイルドジャケット表面のオイルもさっぱりと落としてしまうんです。せっかくのオイルドコート・オイルドジャケットなのに、オイルが落ちてしまうことからドライクリーニングは不可なのです。

 

臭いが気になってくることもあります


水洗いも不可、ドライクリーニングも不可となると、汚れが蓄積されたままになってしまいますよね。
さらにコート表面のオイルは汚れやほこりを吸着しやすいという特徴もあるのです。

長期間洗っていない洋服はどうしても臭いが気になってきます。
冬用コートとはいえ着用中には汗もかきますし皮脂汚れなどもついてしまいます。これらの汚れの蓄積によっても臭ってきますし、コートのオイルが酸化することでも臭いと感じるようになります。

また、オイルドコート・オイルドジャケットオーナーの中にはカビでお困りの方もいらっしゃいます。
カビが繁殖する原因は、栄養・温度・湿度です。
高温多湿の日本で、洗っていない衣類をクローゼットにしまい込んでしまうとカビが生えてしまうのは仕方がないことなのです。

オイルドコート・オイルドジャケットに感じる臭いは、

「カビの臭い」
「汗臭い」
「油が酸っぱくなったような臭い」
「機械油のような臭い」

などと言われています。

臭いは、現行品であれば気にならないという人もいるのですが、こればかりは人それぞれですしね・・・。
実際、臭いやオイル移りが気になって、せっかくのオイルドコートなのに人前ではもう着られないという方もいらっしゃいます。

問題は、じゃあどうやってメンテナンスすれば良いの?というところですよね。
まさか、一生洗えないの??

その答えは次回しっかりと回答させていただいますね。

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【解決編】オイルドコート・オイルドジャケットのよくあるトラブル

⇒クレアンのオイルドコート・オイルドジャケットクリーニング