伝統の国イギリスで誕生し世界の標準となったスタイル~スーツの世界を知る~②

スーツの種類

スーツのイメージといえば、画一化されたものと感じている方もいるかもしれませんが、スーツにはデザインや素材によって、さまざまな種類があります。着用するシーンによっては、制約もあると思いますが、現代においてはビジネス系のスーツでも個性を表現できる時代になっていると言えるでしょう。

デザインによる違い

まず、スーツの大きな違いには全体的なデザインがあります。シングルとダブルの違いは多くの方が認識していると思いますが、衿などのディティールでもかなり印象が変わってきますで、ご紹介していきましょう。

ボタンの位置とセットの内容


参照:https://www.global-style.jp/enjoy-order/?p=9872

スーツのデザインで一番基本的な違いと言えば、ボタンの位置である「シングル」か「ダブル」かということになります。シングルはボタンが一列に並んだタイプで、ビジネスなどでスタンダードなタイプとしてよく着用されています。
ダブルスーツの方は、ボタンが縦に2列並んだタイプです。シングルよりもゆったりとした印象となり、重厚でフォーマルなイメージのデザインとなっています。
シングルスーツの方は、「スーツはどのようにして生まれたのか?」でご紹介した室内着の「ラウンジジャケット」により近いと言われています。一方で、ダブルスーツはスーツの方は、スーツの原型である外出着「フロックコート」に近いと言われています。
どちらもフォーマルな場面で着ることが出来ますが、パーティなどの華やかな場面ではダブルスーツが特別感があると思います。しかし、一方で、日本の社会では目上の人が多く居るシーンでダブルスーツを着ていると、「尊大だ」と思われることがあります。具体的なマナー違反とは言えないものの、気をつけたほうが良いでしょう。
もうひとつのスーツデザインで大きな違いは、セット内容の違い、つまり「ツーピース」なのか「スリーピース」なのかということです。ツーピースというのは、一般的なスーツで、上着とパンツの2点セットです。既製品スーツの多くがこのタイプとなっています。一方で、スリーピースは、「ベスト」がセットになっているスーツのことです。
イギリスでは、18世紀、フロックコートが正装だった頃からベストは必須とされていて、現在でもスリーピースはかなりフォーマルな装いとして認識されています。正式にはベストも上着とパンツと同じ生地「共布(ともぬの)」でなければなりません。
スリーピースは上手く着こなすことができれば、ワンランク上のスタイルとして非常にエレガントですが、ボタン、衿のマナーや着こなしルールを熟知しておかないと、「古臭くてダサい」印象になりかねません。十分に注意してチャレンジしてください。

ディティールの違い


ノッチドラペル 参照:http://at-order.jp/glossary/%E3%83%A9%E3%83%9A%E3%83%AB

スーツは上記のように全体的なデザイン以外に、ラペル(下衿)やベント(後ろ側の裾)などのディティールのデザインでも大きく印象が変わってきます。
ラペルには主に3種類あり、多くのシングルスーツで見られる「ノッチドラペル」というスタイルが一番多い形です。「ピークドラペル」はダブルスーツに多いスタイルで、ラペルが上に尖っているのが特徴になります。そして、「ショールカラー」はタキシードに多いスタイルで、カラー(上衿)とラペルが一体になり曲線になっているのが特徴です。
ベントはスーツの後ろ姿を演出する重要な部分です。一番ポピュラーなのが「センターベント」で、真ん中に1本スリットが入っているデザインです。機能的にも動きやすく、軽快なデザインだと言えます。
「センターベント」は、少しクラシカルなイメージの個性派と言えるかもしれません。両サイドにスリットが入っていますから、動きやすさにも問題はありません。
このように、スーツを選ぶときにはディティールにも注目してみると、自分のお気に入りのスーツデザインに巡り会えるかもしれません。

素材や柄による違い

スーツはデザインの他に素材や柄によって種類が分けられます。素材や柄によって、受ける印象は全く違ってきますし、極端に言ってしまえば、スーツに詳しい人なら、素材などを見ただけでそのスーツのグレードがわかります。もちろん、無理をして高価なものを着る必要はありませんが、基礎知識は知っておきましょう。

素材の違い


参照:https://difference.tokyo/topics/styling_guide/detail_143.html

スーツの素材の主のものはウール(羊毛)です。この素材を平織り(ひらおり)や綾織(あやおり)などの織り方で生地にしていきます。平織りは通気性がよく夏物に、綾織は密度が濃くなり耐久性や保温性が高く冬物に向いています。
素材のウールにもさまざまなグレードがあり、カシミヤや高級ウールが使用されればグレードが高くなります。シルクなどの素材を織り込むこともあります。
一方で、ポリエステルなどの化学繊維を使用すれば低価格のスーツになります。しかし、化学繊維の低価格品だからといって、品質が悪いわけではありません。耐久性が優れているというメリットがありますので、普段から頻繁に着るスーツには適していると考えられます。

柄による違い

スーツは柄によっても、周囲に与える印象が大きく違います。代表的な柄は「ストライプ」「チェック」などがありますが、その中にもピンストライプやペンシルストライプ、グレンチャックに千鳥格子などなど、無数と言ってよいほどさまざまな柄があります。
与える印象については、一例として、ストライプは華やかさがあるとか、チェックは上品で知的などと一般的に言われます。ただ、印象はあくまでも主観です。基本は自分の好きな柄をTPOを考えて選んでみましょう。

国によって違うスーツの雰囲気

スーツは18世紀ころのイギリスを発祥地としています。その後、ヨーロッパやアメリカに広がると、その国の文化や風習などを取り入れるなどして、スーツではあるけれど個性的な雰囲気を持つものが登場してきます。もちろん、「傾向的に」ということなので、必ずその国のスタイルで製造しているものではありませんが、比較してみると、それぞれのお国柄もわかって興味深いと思います。

イギリス


参照:https://asm.asahi.com/article/12837263

スーツの発祥国として、伝統を重んじた「ブリティッシュスタイル」が主流となります。かなりフォーマル色が強く、肩幅は広めでしっかりとした肩パットが入るスタイルです。身頃は「イングリッシュドレープ」と言われる肩から胸にかけての包み込むような曲線を描いています。
生地は厚めのものを使用して、しっかりとした仕立ても特徴的。耐久性にも優れています。また、パンツはベルトレスのものも多く見られ、サスペンダーを使用する仕様になっています。
「英国紳士」というイメージがピッタリとくる雰囲気で、「構築的」とも言われる、クラシカルでカッチリとした重厚感が好みの方に適したスーツです。

イギリスの代表的なブランド

やはり、ブリティッシュスタイルと言えば、オーダーメードが主流になります。そのなかでも、HUNTSMAN(ハンツマン)は、1849年創業で、英国王室ともゆかりのある老舗テーラーです。ロンドン中心部の高級紳士服店が集まることで世界的にも有名な「サヴィル・ロウ」という地域で、「一番高価」という評価さえ受ける名門です。日本では伊勢丹新宿店などでオーダーができます。
既製品を扱っている有名ブランドでは、ポールスミスやバーバリーなどがブリティッシュスタイルを継承していると言えるでしょう。

イタリア


参照:https://asm.asahi.com/article/12837263

イタリアはイギリスと並ぶほど、スーツづくりが盛んな国です。スーツの生地にもこだわりを持ち、ローマやミラノ、ナポリなど地域性も豊かで多彩なスタイルが特徴です。
ブリティッシュスタイルのスーツが重厚と表現されるならば、「クラシコ・イタリア」と呼ばれるイタリアスーツは軽やかと表現されることが多いです。身体にフィットする仕立てや、薄くて軽い肩パット、ときに「セクシー」とも表現されるフォルムですが、ディテールは職人の技術を駆使した上質なものになっています。

イタリアの代表的なブランド

イタリアでは世界的に展開しているブランドが多くありますが、まず、最初にあげられるブランドは、「エルメネジルド・ゼニア」でしょう。スーツの生地メーカーとして創業して、現在ではスーツ製造自体もおこなっています。多くの世界的ブランドがゼニアの生地を使用し、スーツ製造を委託している場合もあります。イタリアンスーツはもちろんですが、イギリススーツなど多くのスタイルも製造している世界的なスーツメーカーです。
もうひとつ、イタリアを代表するブランドは、「ジョルジオ・アルマーニ」でしょう。イギリスから広まった「構造的」なスーツを一度解体してしまい、「再構築」をおこなった「アンコンストラクテッド(非構造的)」なスーツを広めました。より、着やすさを追求したこのスタイルは、今やスーツの主流となっています。

アメリカ


参照:https://asm.asahi.com/article/12837263

アメリカのスーツは、機能性や、どのような体型でも着られる汎用性を重視したものが多い印象です。スーツの大量生産を推し進めたのもアメリカです。カジュアルな雰囲気のものも多く、トラディショナルなものと革新的なものが共存する、アメリカらしいスタイルです。
デザイン上の大きな特徴は、ジャケットのフロント部分にある左右のダーツを排したことです。通常は、このダーツによって、ウエスト部分がシェイプするシルエットをつくるのですが、アメリカンスーツではストレートなシルエットになります。これによって、体型をカバーできて、万人が着られるスーツになっているのです。

アメリカの代表的なブランド

アメリカンスーツの代表的ブランドと言えば、1818年創業の「ブルックスブラザーズ」でしょう。歴代の多くの大統領やハリウッドスター、財界人も着用したアメリカントラッドを生み出した老舗ブランドです。
また、近年多大な人気を得ているのが、1968年に創業した「ラルフローレン」です。洗練されたアメリカントラッドを打ち出して、カジュアルにも力を入れているブランドです。

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